の収益性や事業計画に影響する経営課題です。燃料価格、為替、電力需給、再生可能エネルギーの導入拡大、制度変更などが重なり、電力コストは以前よりも見通しにくくなっています。
本コラムでは、電力価格が変動する仕組み、高騰につながる主な要因、企業経営への影響を整理したうえで、2026年に向けて企業が検討したい電力コスト対策と市場変動リスクへの備え方を解説します。
目次

電力価格とは、発電された電気が市場や相対契約などで取引される際の価格を指します。企業が実際に支払う電気料金は、電力量料金、基本料金、燃料費調整、再生可能エネルギー発電促進賦課金、託送料金、小売事業者の調達費用など、複数の要素で構成されています。
そのため、JEPX(日本卸電力取引所)の市場価格がそのまま電気料金になるわけではありません。ただし、小売電気事業者の調達費用や市場連動型メニューを通じて、卸電力市場の変動が企業の電力コストに影響する場合があります。
JEPXのスポット市場では、翌日に受け渡しする電力が30分単位で取引されます。電力は大量に貯蔵しにくく、その時点の需要と供給のバランスが価格形成に大きく影響します。
冷暖房需要が増える夏季・冬季、太陽光発電の出力が落ちる夕方以降、供給力が不足しやすい時間帯などは、価格が上昇しやすくなります。一方で、太陽光発電が多く発電する昼間は、エリアや需給状況によって価格が低下しやすい時間帯もあります。

日本はLNGや石炭などの燃料を海外からの輸入に大きく依存しています。火力発電の燃料価格が上昇したり、円安が進行したりすると、発電コストや電力調達コストに影響し、電気料金の上昇につながる可能性があります。
資源エネルギー庁も、2022年度は燃料輸入価格の高騰に伴い電気料金が上昇した一方、その後は燃料輸入価格の低下などにより高騰時と比較して低くなっていると説明しています。つまり、足元の水準だけでなく、燃料価格や為替の変動に備える視点が重要です。
猛暑や厳冬による需要増加、発電設備の停止、燃料供給の制約、送配電設備の制約などが重なると、需給バランスが悪化し、市場価格が上昇しやすくなります。
近年はデータセンターやAI関連設備の増加に伴う電力需要の伸びも注目されています。需要が増える一方で、供給力や系統整備が追いつかない場合、企業の電力調達リスクは高まりやすくなります。
再生可能エネルギーの導入拡大は、脱炭素化に欠かせない取り組みです。一方で、太陽光発電の出力が大きい昼間と、発電量が減少する夕方以降では、卸電力市場の価格差が広がる場合があります。
企業にとっては、年間平均の電力単価だけでなく、どの時間帯にどれだけ電力を使っているかを把握することが重要です。使用時間帯によって、契約見直し、省エネ、蓄電池、PPAの効果は大きく変わります。
電力価格の上昇は、電気料金の増加として企業の損益に直接影響します。特に高圧・特別高圧契約を利用する工場、物流施設、商業施設、データセンターなどでは、電力コストの増減が利益率に大きく関わります。
すべての企業が電力コストの増加分を商品・サービス価格に転嫁できるわけではありません。価格転嫁が難しい場合、電気料金の上昇は利益率の低下や投資余力の縮小につながります。
電力価格の変動幅が大きくなると、年間予算や中期計画の精度にも影響します。市場連動型契約を採用している企業や、燃料費調整の影響を受けやすい契約を結んでいる企業では、想定外のコスト増が発生する可能性があります。
電力コストを単なる経費として扱うのではなく、事業計画に影響する変動費として管理することが必要です。
企業には、電力コストを抑えるだけでなく、Scope2排出量の削減や再生可能エネルギーの活用も求められています。取引先や投資家から脱炭素対応を求められる企業では、安さだけを基準に電力を選ぶことが難しくなっています。
今後は、コスト、価格変動リスク、CO2削減、追加性、社外説明のしやすさを総合的に評価した電力調達が重要になります。
最初に取り組むべきことは、電力使用量と契約内容の把握です。拠点別の使用量、契約電力、ピーク時間帯、電力単価、燃料費調整、市場連動の有無を整理することで、どの拠点から対策すべきか判断しやすくなります。
電力コスト対策は、電力会社の切り替えだけでは不十分です。どの時間帯に電力を使っているか、ピーク需要がどこで発生しているかを把握することで、省エネ、蓄電池、PPAなどの効果を見積もりやすくなります。
省エネルギーは、もっとも基本的で確実性の高い電力コスト対策です。高効率空調、LED照明、インバーター制御、設備運転の最適化、EMS(エネルギーマネジメントシステム)の活用などにより、使用量やピーク需要の削減が期待できます。
省エネは電力価格が上がったときだけでなく、平常時にも効果が続く点が強みです。まずは使用量の多い設備や運用時間の長い設備から改善余地を確認しましょう。
固定価格型、市場連動型、燃料費調整の影響を受ける契約など、電力契約にはそれぞれメリットとリスクがあります。固定価格型は予算を立てやすい一方、市況が下がった場合のメリットを受けにくい場合があります。市場連動型は市況次第でコストを抑えられる可能性がありますが、価格高騰時の影響も受けやすくなります。
契約を見直す際は、単価だけでなく、契約期間、解約条件、燃料費調整、市場価格の反映方法、再エネメニューの有無を確認することが重要です。
工場や物流施設、商業施設などで屋根や遊休地を活用できる場合、自家消費型太陽光発電は購入電力量の削減につながります。昼間の電力使用量が多い拠点では、発電した電力をその場で使いやすく、電力コスト対策として検討しやすい方法です。
ただし、設置スペース、建物強度、電力使用パターン、初期費用、保守管理、余剰電力の扱いなどを確認する必要があります
蓄電池は、電力価格が低い時間帯や太陽光発電量が多い時間帯に充電し、価格が高い時間帯やピーク需要時に放電することで、電力コストの平準化に役立つ可能性があります。
また、停電時のバックアップ電源としてBCP対策に活用できる場合もあります。ただし、蓄電池の費用対効果は容量、運用方法、電力契約、補助制度、非常時に守りたい負荷によって変わるため、目的を明確にした設計が必要です。
電力価格の変動に備えるには、一つの調達方法に依存しすぎないことが重要です。固定価格契約、市場連動契約、自家消費型太陽光、蓄電池、PPA、環境証書などを組み合わせることで、コストとリスクのバランスを取りやすくなります。
重要なのは、最安値だけを追うことではありません。価格の予見可能性、脱炭素効果、社外説明のしやすさ、契約期間、運用負荷を含めて、全社の電力調達ポートフォリオを設計することです。
PPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)は、企業が発電事業者などから再生可能エネルギー由来の電力や環境価値を長期的に調達する仕組みです。長期契約により、再エネ調達の見通しを立てやすくなる点が特徴です。
自社敷地に太陽光発電設備を設置するオンサイトPPA、自社敷地外の発電所から電力や環境価値を調達するオフサイトPPA、環境価値を中心に活用するバーチャルPPAなど、手法によって適した企業や導入条件は異なります。
PPAは電力価格高騰への対策として注目されますが、必ずコスト削減につながるとは限りません。契約単価、契約期間、需要規模、供給エリア、環境価値の扱い、既存契約との関係を整理したうえで、自社に合うかを確認することが重要です。
デマンドレスポンス(DR)は、電力需給の状況に応じて消費電力を調整する仕組みです。需要が集中する時間帯に使用量を抑えたり、設備の稼働時間を調整したりすることで、電力コストの抑制や系統安定化に貢献できます。
DRを活用するには、どの設備をどの程度調整できるか、事業活動への影響をどこまで許容できるかを事前に整理する必要があります。
クリーンエナジーコネクトは、企業の脱炭素経営を実現するため、再生可能エネルギーの導入から運用、環境価値の活用までを一貫してご支援しています。
コーポレートPPAでは、お客さま専用の再生可能エネルギー発電所を新たに開発・建設し、長期的かつ安定的に環境価値を調達できる仕組みをご提供しています。お客さまのニーズに応じて、電力と環境価値をあわせて供給するオフサイトコーポレートPPAや、環境価値のみを調達できるバーチャルPPAなど、最適なスキームをご提案します。
エネルギー安全保障と脱炭素を両立するためには、自社の電力使用量や拠点の状況、脱炭素目標、契約条件などを踏まえたうえで、最適な再エネ調達方法を選択することが重要です。
クリーンエナジーコネクトでは、お客さまの電力使用状況や事業環境をもとに、コーポレートPPAをはじめとする再エネ調達手法の導入可能性や期待される効果を整理し、最適な導入プランをご提案します。
電力価格の高騰や市場変動は、一時的なコスト問題ではなく、企業の収益性、事業計画、脱炭素対応に関わる経営課題です。燃料価格や為替、需給バランス、再エネ導入拡大による時間帯別の価格差などを踏まえ、企業は電力調達を戦略的に見直す必要があります。
まずは電力使用量と契約内容を見える化し、省エネ、契約見直し、自家消費型太陽光、蓄電池、PPA、デマンドレスポンスなどを自社の状況に合わせて組み合わせることが重要です。
電力コストを単なる経費ではなく、経営戦略の一部として捉えることが、価格変動に強く、脱炭素にも対応できる企業づくりにつながります。
今こそ、共にクリーンな未来へ。
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