追加性とは?RE100・GHGプロトコルとの関係とPPAで押さえる確認ポイント

2026.08.17
2026.08.17
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企業の再エネ調達では、「再エネ100%を達成したか」だけでなく、その調達が新しい再エネ電源の拡大にどうつながったかも問われます。この貢献を考えるときの重要な視点が「追加性」です。

ただし、追加性は「新しい発電所なら自動的に認められる」といった単純なものではありません。発電所の新設時期に加え、企業の契約が事業化や資金調達をどの程度支えたか、環境価値を適切に取得・管理できるかまで確認する必要があります。

本コラムでは、追加性の基本、RE100・GHGプロトコルScope 2との関係、PPAを含む調達手法の違い、契約前に押さえたい確認ポイントを整理します。


追加性とは、企業の調達や資金提供が、新たな再エネ発電設備の新設・増強などを後押ししたと説明できる考え方です。たとえば、開発段階の太陽光発電所について企業が長期の購入契約を結び、その契約が将来収入の見通しや資金調達の支えになった場合、追加性を説明しやすくなります。

一方、すでに長期間稼働し、購入の有無にかかわらず運転が続くと考えられる設備から、環境価値だけを単年で購入するケースでは、新しい設備を増やした効果は見えにくくなります。ただし、既存設備由来の調達が再エネ利用の主張やScope 2算定に使えるかどうかと、追加性が高いかどうかは別の論点です。

追加性には、あらゆる制度・地域に共通する単一の認定基準があるわけではありません。設備の新しさだけで判断せず、契約期間、プロジェクトの特定、企業が当初の買い手として関与した時期、資金調達への寄与などを合わせて見ることが重要です。

同じ「再エネ100%」でも、調達の中身はさまざまです。自家発電、オンサイトPPA、オフサイトPPA、小売電気事業者の再エネメニュー、環境価値証書などでは、電源との結び付きや新規開発への関与が異なります。

再エネ比率やScope 2排出量は、調達量を把握するうえで欠かせません。そこに、発電所の所在地・電源種・運転開始年、契約期間、環境価値の帰属といった情報を重ねると、調達の質や社会への効果を説明しやすくなります。追加性は、その説明を組み立てる代表的な視点です。


RE100は、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的な企業イニシアティブです。2025年3月公表の技術要件では、インパクトのある調達の特徴として「長期」「プロジェクトを特定」「最近運転を開始したプロジェクト」の3点を挙げています。

同技術要件では、再エネ電力の調達に運転開始またはリパワリングから15年以内という設備年齢の制限を設けています。ただし、一律のルールではありません。自家発電、オンサイト発電からの購入、系統を介さない自営線による調達、企業が当初オフテーカーとして締結した長期のプロジェクト特定契約などは適用除外です。さらに、適用除外に該当しない15年超の電源についても、総電力消費量の15%まで割り当てられる規定があります。

2026年のRE100報告では、すべての参加企業が現行技術要件に基づいて評価されます。実務では「15年以内か」だけでなく、調達形態、契約の運用開始日、当初オフテーカーに当たるか、発電所情報を報告できるかまで確認する必要があります。

GHGプロトコルの現行Scope 2ガイダンス(2015年)は、購入した電力などに伴う排出量をロケーション基準とマーケット基準で算定する枠組みを示しています。マーケット基準でPPAや証書などの契約手段を使う場合は、所定のScope 2品質基準を満たす必要があります。

現行ガイダンスでは、追加性そのものはマーケット基準算定の必須要件ではありません。そのため、「追加性がなければScope 2削減に使えない」と一律に説明するのは適切ではありません。算定への適格性と、調達が新しい再エネ電源を増やした効果は分けて捉える必要があります。

GHGプロトコルは2026年7月29日、Scope 2改定案に対する意見募集の結果を公表しました。時間単位のマッチングや供給可能性などには賛否が分かれており、提案内容は今後も検討されます。また、GHGプロトコルとISOによる統合企業基準は、2027年第2四半期に公開協議、2028年第4四半期に公表予定とされています。新基準が確定するまでは現行ガイダンスを基礎としつつ、電力使用量と発電量の時間データ、電源所在地、契約・証書情報を整理しておくことが現実的です。


追加性は、調達方法の名称だけでは決まりません。一般的な傾向と、確認したい条件を整理すると次のようになります。

表1:再エネ調達方法と追加性の説明に必要な条件

調達方法概要追加性の一般的な傾向主な確認事項
自家発電・自家消費自社が設備投資し、電力と環境価値を自社で利用新設設備なら説明しやすい設置条件、余剰電力、環境価値の帰属
オンサイトPPA第三者が需要地内に設備を設置し、需要家が電力を購入新設案件なら説明しやすい屋根・敷地条件、契約期間、設備撤去・原状回復
オフサイトPPA需要地外の特定電源から系統を介して長期調達新設・当初オフテーカーなら説明しやすい発電量変動、補完供給、環境価値、料金構造
バーチャルPPA電力供給と切り離し、価格差精算と環境価値を扱う新設案件への収益予見性付与を説明しやすい会計・契約・市場価格リスク、環境価値の移転
再エネ電力メニュー小売事業者のメニューへ切替電源・契約の透明性により異なる電源、運転開始年、証書、契約期間
環境価値証書電力契約とは別に環境価値を調達既設・単年調達では相対的に説明しにくい対象市場、発電時期、電源情報、償却・二重計上防止

注:上表は一般的な傾向です。制度上の適格性や追加性は、個別の電源・契約条件・報告基準により異なります。

PPAであっても、既設発電所との短期契約で、企業の関与が開発判断に影響していなければ、追加性を強く説明できるとは限りません。反対に、証書調達でも、電源や契約条件、収益の使途を明確にし、新規開発を支える設計がなされている場合があります。名称ではなく、電源と契約の実態を確認しましょう。


コーポレートPPAでは、企業が特定の再エネ発電所から電力や環境価値を中長期で調達します。開発段階で長期の購入先が決まると、発電事業者は将来収入を見通しやすくなり、金融機関や投資家に事業性を説明する材料になります。

特に、企業が当初オフテーカーとして新設プロジェクトに関与する契約は、「自社の調達が発電所の実現を支えた」という経緯を示しやすい点が特徴です。

プロジェクトを特定したPPAでは、発電所名、所在地、電源種、運転開始年、発電量などを契約・報告情報として整理できます。環境価値の帰属と償却、電力使用量との対応を適切に管理すれば、RE100やCDP、サステナビリティ開示、取引先への説明にも活用できます。

ただし、PPA契約があるだけで十分とは限りません。小売電気事業者などの関係者を含め、誰が環境価値を取得・移転・償却するのかを契約上明確にする必要があります。

PPAは長期契約となることが多く、一定量の再エネ電力や環境価値を中長期で確保する計画を立てやすい手法です。料金条件によっては、再エネ調達コストの見通しを持ちやすくなる場合もあります。

一方で、実際の経済性は、固定価格・市場連動などの料金式、発電量の変動、補完供給、インバランス、出力制御、託送料金・制度費用、需要変動によって変わります。「PPAなら必ず安くなる」「電力価格変動の影響を受けない」とは限らないため、契約期間全体で評価することが大切です。


拠点別・時間帯別の使用量、契約電力、現行の電力・証書契約を整理します。オンサイト設備の余地や、オフサイトPPAの発電量と需要のずれも確認します。

RE100、Scope 2削減、取引先要請、国内制度対応など、目的によって必要な情報と調達条件は異なります。目標年度と対象拠点を定め、どの基準に沿って報告するかを先に決めます。

所在地、電源種、運転開始・リパワリング時期に加え、企業の契約が開発や資金調達の判断にどう関与したかを確認します。「新設」という表示だけでなく、契約締結から運転開始までの経緯を記録しておくと説明しやすくなります。

電力と環境価値の流れ、証書の種類、発電時期・市場、償却主体を確認します。同じ環境価値を発電事業者、小売事業者、需要家などが重複して主張しない契約・管理体制が必要です。

すべての使用電力を一度に一つの手法へ切り替える必要はありません。自家発電、PPA、再エネ電力メニュー、環境価値証書を組み合わせ、追加性、コスト、導入速度、報告要件のバランスを取りながら段階的に進めます。


追加性は、企業の再エネ調達が新しい再エネ電源の新設・増強などをどの程度後押ししたかを考える視点です。再エネ比率やScope 2排出量を管理するだけでなく、電源、契約、環境価値、企業の関与を一つの流れとして把握することで、調達の信頼性は高まります。

PPAは、新設プロジェクトを長期で支え、電源情報を追跡しやすいため、追加性を説明しやすい選択肢です。ただし、追加性の強さや経済性は契約ごとに異なります。RE100やGHGプロトコルへの適合も、最新要件と個別条件を確認して判断する必要があります。

クリーンエナジーコネクトは、企業ごとの電力使用状況と脱炭素目標を踏まえ、Non-FIT太陽光発電所を活用したオフサイトコーポレートPPAをはじめ、再エネ調達計画の策定から導入・運用まで支援しています。追加性のある再エネ調達を検討する際は、まず対象拠点の使用電力データと目標を整理するところからご相談ください。

|この記事を書いた人

岡 優来Oka Yuuki
GXソリューション企画部 マネージャー

法人営業を起点に、事業企画、マーケティング、DX推進、新規事業開発に従事。商社系電力会社にて、事業企画部門のマネジメントをはじめ、データを活用した販売戦略の立案、Webマーケティング、DX推進体制の構築を担当。現在はクリーンエナジーコネクトにて、GX・再生可能エネルギー分野のマーケティング戦略の立案・実行と、新規サービスの企画・開発を担当。

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