再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然の中で繰り返し補充されるエネルギー源です。日本の発電電力量に占める再エネの割合は、2024年度速報で23.0%まで拡大しました。一方、企業が再エネを導入する際は、電源の種類だけでなく、環境価値の扱い、契約期間、価格、電力使用パターンまで確認する必要があります。
本コラムでは、再生可能エネルギーの基本と日本の現状を押さえたうえで、企業が選べる調達方法と導入時のチェックポイントを整理します。
目次

再生可能エネルギーは、化石燃料のように長い年月をかけて形成される有限な資源とは異なり、自然の過程によって継続的に補充されるエネルギーです。日本の法令上は、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存在する熱、バイオマスが再生可能エネルギー源として定められています。
発電時に化石燃料を燃焼しない太陽光や風力は、運転時の温室効果ガス排出が少ないことが特徴です。ただし、設備の製造・輸送・廃棄まで含めれば排出が完全にゼロになるわけではありません。バイオマスも、燃料の由来や輸送距離、森林管理によって環境性が変わります。「再エネだから無条件に環境負荷がない」と捉えず、ライフサイクルと地域への影響を含めて評価することが重要です。
非化石エネルギーは、化石燃料を使わないエネルギーの総称です。再生可能エネルギーはその一部であり、非化石エネルギーには原子力など再エネではない電源も含まれます。この違いは、非化石証書を選ぶ際に重要です。企業が再エネ利用を訴求したい場合は、証書の「再エネ指定」の有無やトラッキング情報を確認します。
発電分野で広く使われている主な再エネは、次の5種類です。どの電源にも強みと制約があり、立地や需要に応じた使い分けが欠かせません。
| 種類 | 仕組み | 主な特徴 | 主な留意点 |
| 太陽光 | 太陽電池で光を電気に変換 | 屋根や遊休地などに分散して導入しやすい | 昼夜・天候で発電量が変わる。適地、系統接続、廃棄・リサイクルも確認 |
| 風力 | 風で羽根を回し発電 | 陸上・洋上とも大規模化が可能 | 風況、送電網、騒音・景観、環境影響への配慮が必要 |
| 水力 | 水の流れや落差で発電 | 出力を調整できる設備もあり、長期運用の実績がある | 河川環境や水利用との調整が必要。新規の大規模適地は限定的 |
| 地熱 | 地下の熱や蒸気を利用 | 天候に左右されにくく、安定運転が期待できる | 調査・開発に時間がかかり、温泉資源や地域との調整が必要 |
| バイオマス | 木質資源、廃棄物、バイオガスなどを燃料に利用 | 燃料を確保できれば計画的に発電しやすい | 燃料の持続可能性、輸送、燃焼時排出、コストを確認 |

資源エネルギー庁の2026年度FIT・FIP制度ガイドブックによると、2024年度の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は速報値で23.0%です。内訳は太陽光9.9%、水力7.4%、バイオマス4.2%、風力1.2%、地熱0.4%とされており、2010年度の9.5%から大きく伸びました。※端数処理により合計が一致しない場合があります。
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成に占める再エネを4〜5割程度とする見通しが示されています。導入拡大には、発電設備を増やすだけでなく、送電網の整備、蓄電池や需要制御の活用、地域との共生、国民負担の抑制を同時に進める必要があります。

購入した電気に伴う間接排出はScope 2に該当します。企業は、自家消費型太陽光、再エネ電力メニュー、コーポレートPPA、適格な環境価値証書などを活用し、ルールに沿って環境価値を割り当てることで、マーケット基準のScope 2排出量削減に反映できます。契約・証書がGHGプロトコルの品質要件を満たすこと、同じ環境価値を複数者が主張しないことが前提です
自家消費型太陽光や長期契約型のPPAは、燃料価格や卸電力市場の変動にさらされる電力量を抑え、将来の電力コストを見通しやすくする場合があります。ただし、総額が必ず下がるわけではありません。契約単価、期間、発電量と需要の一致、託送料金、制度変更時の扱いなどを含めて比較する必要があります。
サプライチェーン排出量の削減要請やRE100、CDPなどへの対応では、「何%を再エネ化したか」だけでなく、どの電源から、どの契約で、どの環境価値を調達したかが問われます。発電所や発電時期を追跡できる情報を整えると、開示の一貫性を保ちやすくなります。
新設の発電所と長期契約を結ぶコーポレートPPAは、企業の需要が新たな設備の事業化を支えるため、「追加性」を説明しやすい調達方法です。ただし、追加性の評価は設備の新設時期、契約関係、環境価値の帰属などによって変わります。契約前に根拠を確認しましょう。

太陽光や風力は天候と時間帯で出力が変わります。小売電気事業者からの補完供給、蓄電池、需要制御などを含む設計が必要です。
PPAは長期契約が一般的です。需要の減少、拠点の移転・閉鎖、物価・制度変更、余剰電力の扱いを確認します。
電気と環境価値は別に取引される場合があります。証書の種類、対象期間、トラッキング、償却・使用手続きを確かめます。
立地によっては景観、防災、生態系、農林業、温泉資源などへの配慮が不可欠です。法令順守だけでなく、地域との継続的な対話が求められます。
製造時の資源利用、保守、撤去費、リユース・リサイクルまで含めて計画します。
企業の再エネ調達は、一つの方法に絞る必要はありません。屋根の条件、拠点数、年間使用量、目標年、追加性の重視度に応じて組み合わせるのが現実的です。
| 方法 | 概要 | 向いている場面 | 主な確認事項 |
| オンサイト太陽光 | 自社敷地・屋根で発電し自家消費 | 使用地点と発電地点が近く、電気料金と排出量の両面を管理しやすい | 設置面積、建物強度、日中需要、保守、余剰電力 |
| 再エネ電力メニュー | 小売電気事業者から環境価値付き電力を購入 | 契約切替で導入しやすく、複数拠点へ展開しやすい | 電源構成、証書の種類、価格改定、契約条件 |
| 環境価値証書 | 電気とは別に非化石証書などを調達 | 不足分を補完しやすく、段階的な再エネ化に使える | 対象年度、再エネ指定、トラッキング、二重計上防止 |
| オフサイトPPA | 敷地外の発電所から電気と環境価値を長期調達 | 大口・複数拠点に対応しやすく、新設電源なら追加性を説明しやすい | 長期契約、需要との不一致、補完供給、制度・価格条件 |
| バーチャルPPA | 差金決済等を伴い、主に環境価値を長期調達 | 既存の電力契約を維持しつつ、新設電源を支援できる場合がある | 会計・契約・市場価格リスク。専門家を交えた確認が必要 |
非化石証書は種類によって取引方法と用途が異なります。再エネ価値取引市場ではFIT非化石証書を需要家が直接購入できますが、非FIT非化石証書には別の取引要件があります。最新の制度と自社の報告目的を確認してください。
拠点別・月別の使用量から始め、可能なら30分値も確認します。契約電力、休日、夜間需要も把握します。
Scope 2削減、RE100、コストの予見性、追加性など、優先順位を明確にします。対象拠点と目標年も決めます。
オンサイトで賄える量、PPAで長期確保する量、証書で補完する量を試算します。単価だけでなく総費用とリスクで比べます。
電源、発電所の運転開始時期、証書、トラッキング、環境価値の帰属、契約終了時の扱いを文書で確認します。
使用量、発電量、証書の使用量を毎年突合し、算定方法と前提を記録します。需要変化や制度改定に応じて調達ポートフォリオを見直します。
これまでの再エネ調達は、年間の電力使用量と同量の再エネ電力・環境価値を確保する考え方が中心でした。近年は、電力を使った時間と発電した時間を合わせるアワリーマッチング、需要地へ供給可能な地域性、そして新しい電源の開発につながる追加性にも関心が広がっています。
ただし、2026年8月時点で、時間単位の一致がすべての企業に対する現行のScope 2算定義務になったわけではありません。GHGプロトコルとISOは企業向け温室効果ガス算定基準の統合を進めており、統合基準の公開草案は2027年第2四半期、最終版は2028年第4四半期に予定されています。企業は確定前の案を義務として扱うのではなく、30分値・時間値の整備や電源情報の把握など、将来の選択肢を広げる準備から始めるとよいでしょう。
発電時に燃料を燃やさない電源は運転時排出が少ない一方、設備の製造・輸送・廃棄を含むライフサイクルでは排出が生じます。また、企業のScope 2でゼロまたは低い排出係数を適用するには、契約や証書が算定ルールの要件を満たしているか確認が必要です。
同じではありません。電気は物理的に送電網を流れますが、非化石証書は非化石電源が持つ環境価値を証明・取引する仕組みです。証書を使っても、実際に受電した電源構成そのものが変わるわけではありません。
まず拠点別の使用量と目標を整理し、短期は再エネ電力メニューや証書、中長期はオンサイト太陽光やコーポレートPPAを含めて比較します。大量の証書を先に購入するより、対象範囲と算定方法を決めてから調達する方が、重複や過不足を防ぎやすくなります。
必ず下がるとは限りません。PPAは長期の価格予見性を高めやすい一方、契約単価、需要と発電の一致、補完供給、託送料金、制度変更などで総費用が変わります。複数のシナリオで比較することが大切です。
再生可能エネルギーは、脱炭素とエネルギー調達の両面で企業にとって重要な選択肢です。ただし、導入量だけを追うと、需要との不一致や環境価値の管理、長期契約のリスクを見落としかねません。まずは自社の使用量と目標を整理し、オンサイト太陽光、再エネ電力メニュー、環境価値証書、コーポレートPPAを比較・組み合わせることが、無理のない第一歩です。
クリーンエナジーコネクトでは、再エネ導入のロードマップ策定から、環境証書の調達、オフサイトコーポレートPPA・バーチャルPPAの設計、導入後の運用・効果検証まで一貫して支援しています。拠点数や電力使用量、脱炭素目標に応じた選択肢を整理したい方は、現状の課題からご相談ください。
|この記事を書いた人

岡 優来/Oka Yuuki
GXソリューション企画部 マネージャー
法人営業を起点に、事業企画、マーケティング、DX推進、新規事業開発に従事。商社系電力会社にて、事業企画部門のマネジメントをはじめ、データを活用した販売戦略の立案、Webマーケティング、DX推進体制の構築を担当。現在はクリーンエナジーコネクトにて、GX・再生可能エネルギー分野のマーケティング戦略の立案・実行と、新規サービスの企画・開発を担当。
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